ふたり鬼ごっこ

今日の練習は修行のようだった。いつも見つめていた彼から視線を外すと、世界が少し違って見えた。遠く対角線上の彼の瞳に映っていたのは、あの子に違いなくて…。
すれ違うたびに交わしていた会話に怯えて、何度も彼の前を足早に通り過ぎた。それでも明るく絡んでくる彼に、接し方を忘れた私は戸惑うばかり。逃げているのは私の方だ。離れたいわけじゃない、ただこれ以上好きになるわけにはいかないんだ。